本日は本学科教員の下窪先生の研究を紹介させていただきます。
以下、下窪先生に研究についてお聞きました。
オリンピックやワールドカップでの代表選手の活躍を見ると、時に感動し、
代表選手と同じ国民であることを誇らしく思うことがあるかと思います。
これまで、スポーツの国際大会での代表選手の活躍が国民の自国への誇りを強めることが知られており、特にこうした大会と国への意識の関連は、その歴史的背景から共産主義国において強いことが考えられてきました。
しかしながら、社会調査データからは理論的な仮説とは裏腹にこの仮説は支持されてきませんでした。
そこで、今回の研究では、過去の政治体制がスポーツに関連した国への意識変化に与える影響を明らかにするため、ドイツが優勝した2014年サッカーワールドカップ時のドイツ国民が自国に抱く誇りの変化を、異なる政治体制が敷かれていたドイツ東西統合前の旧西ドイツと東ドイツで生まれた人で比較しました。
(出典: Wikipedia)
その結果、ワールドカップ前から大会期間中にかけては、過去の政治体制にかかわらず、ほぼ同様に増加を示していますが、大会後、つまりドイツ代表が優勝した後には、旧東ドイツ出身者(共産主義)は旧西ドイツ出身者よりも強くドイツのスポーツに対して誇りを抱くようになっていることが分かりました。
今回の研究から、スポーツの国際大会での自国の活躍(国際大会優勝)はドイツ人の自国への誇りを高めたものの、その効果には、過去の政治体制の違いが影響していることが明らかとなりました。
ドイツが東西統合して10年以上が経過した2014年においても、人々の意識に影響を残している可能性が示されました。
Takuya Shimokubo (2021)
Political regime and the impact of sporting success on national pride: a quasi-natural experiment in Germany.
International Journal of Sport Policy and Politics, DOI: 10.1080/19406940.2021.1996437
サイト:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19406940.2021.1996437
スポーツを肯定するような結果も否定するような結果も様々出てくるとは思いますが、これも研究を行う際の醍醐味の1つです。
今後も健康スポーツ学科で行われている研究に注目してください!
健康スポーツ学科