今週、日本体力医学会参加報告を連載してきましたが、今日が最後です。
以下、佐々木悠介君(修士課程2年)からの報告です。
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私は今回、2018年9月7日から同年9日にかけて、福井県福井市にて行われた体力医学会に参加し、ポスター形式による発表を行ってきました。
発表させて頂いた内容は、現在取り組んでいる跳躍動作の筋シナジーの抽出と、その応用可能性についての内容です。
この研究では筋シナジー仮説を応用し、跳躍動作の筋シナジーの抽出を試み、得られた筋シナジーから跳躍動作の評価が可能かを検証することを目的としています。
筋シナジー仮説は自由度が高い運動(注1)を行うとき、筋を1つ1つ制御するのではなく、その運動を起こす筋の組み合わせ(シナジー)をあらかじめ作っておき、筋は独立的に活動するのではなく、そのシナジーという単位で活動するという考え方です。
筋シナジー仮説を用いた研究は近年注目されており、神経科学、バイオメカニクスといった分野をはじめ、ロボット工学や臨床現場での活用も検討されています。
私は、今回の学会で初めて筋シナジーの内容で参加させて頂いたため、他大学で同様に筋シナジーを研究されている先生方や、初めて筋シナジーの発表を聞く先生方にはどのように自分の研究が映るのだろうと不安でした。
また、私自身が筋シナジーの研究を勉強し始めてから間もないため、うまく説明できるかという不安もありました。
発表当日は多くの先生方が私のポスターに足を止めてくださいました。
質問を受け、答えていると、その後ろに次に質問したいという先生方が並んでくださり、筋シナジーの注目度の高さを感じました。
他分野の先生方からは、そもそもシナジーとは何かといった基本的な質問から、自身の専門領域を踏まえたお話をいただき、とても活発な意見交換ができたと感じました。
しかし、同時に他分野の方へ、自身の研究内容について説明することの難しさも改めて感じました。
また、シナジーを研究する先生ともお話しすることができ、自身の知識をより深められ、さらに、今後の研究の進め方などをアドバイスして頂きました。
同じテーマで研究をされている方との直接会ってお話を聞くことができる機会は多くないため、私にとって貴重な時間でした。
発表準備等は大変でしたが、貴重な経験が積める学会という場に参加できたことを大変嬉しく思います。
学会参加に伴い、今回の実験に参加して下さった被験者のみなさんや、協力してくださった先生方へ、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
佐々木悠介君(修士課程2年)
注1)自由度が高い運動とは、今回の研究対象となる「跳ぶ」という動きだけではなく、「走る」「投げる」といったように、研究対象とする場合に複雑な問題をもつ運動のことです。
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佐々木君は、修士課程に通いながらハンドボール部の指導も行っています。
跳躍動作に注目し、研究を始めたのも自身の経験からでしょう。
佐々木君のコメントにあるように、学会は「貴重な場」です。
専門家が集い、研究を発表したり、聞いたり、議論をしたりと、専門性を高めることのできる貴重な場です。
このような場で発表することは不安もあるでしょうし、緊張もするでしょう。
ただ、だからこそ良い経験になるのかもしれません。
ちなみに、これは教員も同じです。
多くの聴衆の前で発表することは不安もありますし、緊張もします。
佐々木君は教員志望でありながらも大学院へ進学しました。
新潟医療福祉大学の大学院(健康科学分野 健康スポーツ学分野)へ進学し、特定の科目を履修することで「専修免許状(保健体育)」を取得することができます。
専修免許状とは、教員免許状を取得した人よりも、深い知識を修得している証明のようなものです。
つまり、「より専門性の高い教員」ということができます。
大学院は、何も研究者になる人だけが通うところではないのです。
自身の経験や知識を深め、専門性をより高めるための「自己研鑽の場」であるともいえます。
研究を通して論理的思考力を高め、学会発表を行ってプレゼンテーション能力を高めることもできます。
佐々木君は、そんな経験をしたことによって、より専門性の高い教員として、今後、教育現場で活躍してくれることでしょう。
そのためにも、まずはより良い修士論文の完成を目指しましょう!!
写真左から佐々木悠介君(修士課程2年)、山﨑雄大君(博士課程2年)、中野沙紀さん(修士課程2年)、佐藤大輔先生(3人の指導教員)
新潟医療福祉大学 健康スポーツ学分野
https://www.nuhw.ac.jp/grad/field/master/hs.html
健康スポーツ学科
https://www.nuhw.ac.jp/faculty/health/hs/