前回、中野沙紀さんの研究を掲載しました。
今回、山﨑君の発表内容を以下に記載します。
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【タイトル】
一過性有酸素性運動による感覚機能の変動
【目的・方法】
一過性有酸素性運動が脳機能や神経可塑性(注1)を高める可能性が多くの研究で指摘されているものの、運動効果について未だ明らかでないことは多い。特に、ヒトの感覚機能に有酸素性運動がどのような影響を与えるかは不明である。そこで、一過性の有酸素性運動がヒト感覚機能、特に皮膚や筋、腱の感覚である体性感覚機能に与える影響について明らかにするため実験を進めている。まず、体性感覚機能に関わる脳の活動が運動前後でどのように変化するか検証した。末梢感覚神経に電気刺激を与えた時に生じる一次体性感覚野(S1)の脳反応を、脳波計で計測することにより脳活動を評価した。運動介入は下肢エルゴメーターによるペダリング運動とし、中等度 (心拍数が120 – 130拍程度)で行う条件、低強度 (心拍数が100 – 110拍程度)で行う条件、運動を行わない条件で比較した。
【結果・考察】
中等度有酸素性運動後にS1の活動状態が変動する傾向が確認された.一方で、低強度運動では変動が見られなかったため、運動強度の違いによってS1活動の変動の仕方が異なる可能性がある.
【結論】
一過性の中等度運動後にS1の活動状態が変動する可能性が確認された.今後は、体性感覚機能のパフォーマンスが実際に改善するかどうかを評価する実験を行い、運動による影響を詳細に明らかにする必要がある.
注1)外部からの刺激によって神経伝達の強さや神経同士のつながりが変化する性質
山﨑雄大君
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山﨑君は、運動と脳の関係に興味、関心を抱き、大学3年生から佐藤大輔先生のゼミに所属し、修士課程を経て、博士課程に進学しています。
そして将来、研究者として活躍するために本学で多くのことを学んでいます。
今回の研究では、有酸素運動を実施することによって、脳の第一次体性感覚野の活動がどう変化するのかを明らかにしたものです。
この研究を進め、運動と脳の関係が明らかにされることによって、より効果的なリハビリテーションを実現させようとしています。
体性感覚の機能は正確な動作の遂行や運動技能の学習に重要ですが、「加齢」や脳卒中などの「疾患」によって低下するといわれています。
運動によってこの機能が改善し低下を予防できれば、高齢期でも正確な動作を行うことができたり、感覚機能不全による傷害発生リスクの低減にもつながる可能性があります。
本学科の学生は、強化部で活躍したいといった学生や将来教師になりたいと希望を抱く学生だけではありません。
決して多くはありませんが、大学院へ進学し、修士課程でより深い知識、知恵を身につけてから社会に出ていく学生や山﨑君のように研究者を目指す学生もいます。
健康スポーツ学科では、「知らないことを知りたい」「わからないことを学びたい」といった「学ぶことに貪欲な学生」「探究心旺盛な学生」を歓迎します!!
大学4年間の学びだけではなく、それをより深めるために大学院へ進学し、より高い専門性を身につけることもとても有益です。
それが、専門職に就いた際に「どれだけ深く専門的なことを知っているか」といったことにつながります。
学部から社会に飛び立つ学生だけではなく、今後より高い専門性を身につけて「修士」あるいは「博士」といった学位をもって社会に飛び立ち、それぞれの専門領域で活躍する学生が増えることを、健康スポーツ学科の教員は願っています。
「知らないことを知りたい」。
これが「研究」の出発点ではないかと思います。
スポーツ、運動、健康、教育などに関して「知りたい!!」と思うことがあれば、ぜひ一緒に研究しましょう!!
新潟医療福祉大学 修士課程 健康科学専攻 健康スポーツ学分野
https://www.nuhw.ac.jp/grad/field/master/hs.html
新潟医療福祉大学 博士後期課程 医療福祉学専攻
https://www.nuhw.ac.jp/grad/field/doctor/major.html
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佐藤大輔先生のプロフィール
https://www.nuhw.ac.jp/faculty/health/hs/teacher/sato_d.html