いきいき放送局へようこそ!
本学科では、教員や大学院生で定期的に学習会を行い、互いの研究能力の
研鑽に努めています。
1月の研究セミナーは大学院生の修士論文予演会でした。
Part 1では丸山ゼミの大野果穂さんの発表を報告します。
大野さんは、自身が陸上競技の投擲選手であった経験から、
筋力アップと脳の関係に着目した研究を行ってきました。
その内容は端的に言うと
筋力トレーニング中に脳を磁気刺激すると
そのトレーニング効果が高まるか否か?という内容になります。
以下が実験の詳細です。
方法:被験者はMVC時に二連発TMS刺激を加えたトレーニングを行うTMS群7名と、
TMS刺激なしのトレーニングを行うsham群 7名であった。
最大筋力トレーニングは1日おきに9日間行い、
MVC及び皮質脊髄興奮性の測定を行なった。
その後1日おきに5日間とその1週間後に1回MVCを測定した。
トレーニング内容は、2秒間の最大つまみ運動によるMVCを1分間隔で
3回行うことを1セットとし、5分の休息を挟んで1日4セット行なった。
TMS群はMVC開始1秒目に安静時閾値強度のTMS刺激が刺激間間隔1.5msで
与えられた。皮質脊髄興奮性評価はトレーニング初日、中間日、最終日の
トレーニング前後に右FDI筋から運動誘発電位(MEP)が
約1mV誘発される強度で測定した。
結果:MVC値は初日と比較して最終日にTMS群は約30%、
sham群は約12%有意に増大を示した。
トレーニング期間後のMVC値は両群が最終日のMVC値を維持した。
皮質脊髄興奮性は,TMS群においてトレーニング初日、中間日のトレーニング後に
MEPの低下が起こったが、最終日は起こらなかった。
sham群は最終日までトレーニング後のMEP低下が起こった。
考察:TMS群のMVCがより有意に増加したことから、1.5 ms間隔による
二連発TMS刺激がMVC時に興奮性介在ニューロンの動員を高めたと推察される。
また、反復的なトレーニングによってシナプス間の結合強化を起こしたと推測した。
結論:MVC時二連発TMS刺激のトレーニングが、最大筋力発揮における
興奮性介在ニューロンの動員と、シナプス結合強化及び同期を高め、
より高いMVCとその効果の維持に貢献した可能性が考えられる。
この実験により、筋力トレーニング中に磁気刺激を与えるとより
トレーニング効果が高まる可能性が得られました。
大野さん、修士論文発表会も頑張ってください!
健康スポーツ学科のみなさん、運動と脳の研究を一緒に行ってみませんか?