皆さんこんにちは!
いきいき放送局へようこそ!
本日は、スポーツ社会学がご専門の下窪 拓也先生の論文が
国際誌 International Journal of Sport Policy and Politicsに掲載されたので、ご紹介させていただきます!
2021年、新型コロナウイルスの感染拡大による一年の延期を経て、東京は二度目のオリンピックを開催しました。
オリンピックの開催は、開催地の人々に様々な影響を及ぼします。
なかでも、大会の開催は国民が自国に対して抱く誇りを高めることが、これまでの研究で議論されてきました。
しかし、今回の東京オリンピックは、東京都が新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を発令している最中に行われ、世論調査からこの時期の大会に開催に反対する人が一定数存在することが示されていたように、これまでのオリンピックとは異なる社会的状況下での開催となりました。
開催に否定的な国民の声が目立つ中で実施された今大会は、従来の大会が果たしたように、国民が日本に対して抱く誇りに影響を与えたのでしょうか?
本研究は、感染症拡大による緊急事態宣言下という特殊な状況で開催された東京オリンピックが
日本社会に及ぼした影響の解明を目的として実施されました。
本研究では、調査会社のモニターに登録している411名を対象に大会開催の前後でオンライン調査を行い、大会を通じた人々の態度の変化を観測しました。
その結果、大会を通じて人々はより強く自身が日本人であることを誇りに思うようになったことが明らかになりました。
しかし、この大会を通じた意識の変化には個人差があり、特に、新型コロナウイルス感染拡大を不安に感じている人ほど、大会を通じた誇りの上昇が抑制されていることが示されました(図1)。
このことから、大会開催賛否の争点となっていた新型コロナウイルス感染拡大を強く懸念する人は、感染が拡大する中で大会開催に踏み切った日本を誇りに思わなかったのだと考えられます。
オリンピックの開催による人々の国への意識は、新型コロナウイルス感染拡大のような深刻な社会的問題に対する懸念を払しょくするものではなく、大会が開催国にもたらす影響は、開催国の社会的状況を踏まえたうえで検討する必要があることが明らかになりました。
下窪先生、論文の採択おめでとうございます!
コロナ禍におけるオリンピックの開催に対しては様々な意見があったように思いますが、
オリンピック開催に対して抱いていた考え方によって影響が異なるのは大変興味深いですね!