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2022.06.29

【研究紹介】激しい運動が誘発する脳疲労の仕組みを解明、血中酸素濃度が鍵!

皆さんこんにちは!
いきいき放送局へようこそ!

本日は、国際誌にアクセプトされた健康スポーツ学科の越智 元太先生の研究をご紹介させていただきます!



スポーツ活動の中で、集中力が途切れる、判断を誤るといった場面を皆さんも見聞きしたことがあるかと思います。
健康スポーツ学科の皆様は、選手時にそういった経験をしたことがあるのではないでしょうか?

私たちは、この運動によって生じる認知機能 (注意集中、選択判断といった前頭前野機能) の低下を認知疲労と呼び、そのメカニズムについて検証を行ってきました。

以前の研究から、標高3,500m相当の高地環境を模倣する低酸素ガス (13%酸素濃度) を用い、低酸素環境でたった10分間運動するだけで、認知疲労が起こる実験モデルを開発しました (Ochi et al., NeuroImage, 2018)。

今回の研究では、この低酸素環境での運動による認知疲労のメカニズムとして、運動中に起こる動脈血酸素飽和度 (SpO2) 低下 (低酸素血) が関与していることが実証されました。



図1. 今回の実験方法
以前の研究から、標高3,500m相当の低酸素ガスを吸入しながら運動を行うと認知機能が低下することを見出しました (中程度低酸素条件)。
今回、この生理機構として、運動中に生じるSpO2低下の関与を明らかにするため、運動中の吸入酸素濃度を調整し、SpO2を低下させない条件を作成し (軽度低酸素条件)、認知機能に与える影響を検証しました。



図2 ストループ課題
認知機能の評価にはストループ課題を用いました。色と意味が異なる色名単語を見たときに、意味に対する反応が優先的に起こってしまい、色に対する反応が遅れてしまう現象を利用しています。このストループ課題は前頭前野背外側部 (DLPFC) の活動が重要とされ、本研究においても脳機能イメージング法である機能的近赤外分光分析 (fNIRS) を用いてDLPFCの活動を評価しました。



図3 本研究の結果
運動中にSpO2低下が起こる中程度低酸素条件では、ストループ課題の反応時間が遅延し認知機能が低下、DLPFCの活動が低下していました。
一方で、運動中のSpO2低下を抑制した軽度低酸素条件ではストループ課題成績の低下、DLPFCの活動低下が抑制されました。
これらの結果から、低酸素環境での運動によって生じる認知疲労は、運動中のSpO2低下 (低酸素血) が関係していることが示されました。

SpO2低下は、高地や低酸素環境だけでなく、疲労困憊に至るような激しい運動でも生じます。
そのため、SpO2低下が起こるような激しい運動時は、同様のメカニズムで認知疲労が生じている可能性があります。

今後、運動中のSpO2低下を抑制するような酸素吸入サポートやトレーニング法など対処法開発につながることが期待されます。


越智先生、論文アクセプトおめでとうございます!
スポーツ現場でのパフォーマンスにも関連する内容で
非常に興味深いですね!

健康スポーツ学科には体育・スポーツに関わる様々な研究を行っている先生方がいらっしゃいます。
ぜひ、皆さんも健康スポーツ学科で一緒に新たな発見をしませんか?

#専門的なお話し