今回は健康スポーツ学科の学科長である、西原先生の研究をご紹介させていただきます。
コーチやスポーツ指導者が活躍するスポーツ現場では、「その時」「その場で」「どのような指導を行なうか」を瞬時に判断して対応しなければいけません。
この能力を「即時的対応能力」と言います。
この能力は、本を読んだり、人に聞いて知識を得ても身につくものではなく、
経験(経験知)を多く積むことが非常に重要です。
しかしながら、コーチやスポーツ指導者たちが置かれている現場環境は様々であり、コロナ禍によって実際の指導現場に立つことができないような状況もあります。
近年、仮想現実空間(VR空間)という技術が開発され、実際の指導現場に立てないような状況でもスポーツ現場を再現することができるようになりました。
この技術を用いることで、コーチや指導者の経験を増やすことができるかもしれません。
そこで、VR(仮想現実空間)によってコーチや指導者のどんな即時的対応能力が身につくのかを検討しました!
図1.認知科学における仕事の分類
今回の研究では、バスケットボールの試合を固定カメラ映像とVR映像として見てもらい、
それぞれどんな即時的対応をするのかを調べてみました。
図2.固定カメラ映像(左)とVR(右)で試合を再現認知
その結果以下の3点が明らかになりました。
- 固定カメラ映像は、状況を説明するコーチの指導の再現認知に有効である。
- VR映像は、「提案」「賞賛」「具体的な指示」「批判」といったコーチの指導の再現認知に有効である。
- VRを用いることで、再現認知による新たな気づきが生まれ、コーチの即時的対応能力を身につける可能性が示された。
西原 康行、内山 渉
バスケットボールコーチの再現認知における発話の特徴:固定カメラ映像とVR映像による熟達コーチと未熟達コーチの違い
体育学研究 ID: 21079
【論文ページはこちら】
コーチや指導者にとって、「現場経験を積む」ことが何よりも重要であると考えていた方が多いのではないでしょうか?
変化を恐れず、新たな技術や方法を従来の方法に合わせて取り入れることで、これまでにない気付きが生まれる可能性があることを明らかにした研究でした!
詳しい内容も日本語で論文内で紹介されていますので、
ぜひみなさんも目を通してみてください!
健康スポーツ学科